ランナーのカーボンフットプリント計算機の仕組み
RunDidaカーボンフットプリント計算機は、ランニング活動に関連するCO2排出量を包括的に推定するツールです。週間走行距離、シューズの消費パターン、食事タイプ、レースへの移動方法を入力すると、3つの主要排出カテゴリ別の年間推定排出量が算出されます。
シューズ排出はMIT(2013年)の研究データに基づき、1足あたり約14 kg CO2eの製造排出量を使用し、年間のシューズ消費数から計算します。食事排出はランニングの追加カロリー消費に伴う食料生産排出で、食事タイプ(植物ベース、混合、肉中心)別のkcalあたり排出係数を適用します。移動排出はレースへの交通手段(車、電車、飛行機)と距離から計算します。
結果には年間CO2排出量の総計、カテゴリ別内訳、相殺に必要な植林本数、そして実践的な排出削減策が含まれます。
ランニングは一般的に「クリーン」なスポーツと見なされますが、環境への影響はゼロではありません。
シューズのライフサイクル分析
MITの2013年の研究は、ランニングシューズのライフサイクル全体のカーボンフットプリントを詳細に分析しました。1足あたり約14 kg CO2eで、素材製造(68%)、組立(18%)、輸送(7%)、廃棄(7%)に分解されます。最大の排出源はEVAフォームミッドソールと合成ゴムアウトソールの製造です。しかし、ブランドの取り組みにより状況は変わりつつあります。アシックスのGEL-LYTE III CM 1.95はわずか1.95 kg CO2e(86%削減)を達成し、サトウキビ由来のカーボンネガティブフォームを採用しています。
レース移動:最大の排出源
飛行機でレースに参加するランナーにとって、移動が最大の排出源です。2021年の研究では、フランスのマラソンランナーが地元のレースのみに参加した場合の年間排出量は0.73トンCO2eでしたが、ニューヨークシティマラソンへの飛行を含めると4.28トンCO2eに急増しました。日本からの海外マラソン参加では、東京-ボストン往復で約2.5-3.0トンCO2e、東京-ロンドン往復で約3.0-3.5トンCO2eが発生します。国内の大会(東京マラソン、大阪マラソンなど)に新幹線で移動する方が、はるかに低い排出量で参加できます。
食事のカーボンインパクト
ランニングは追加のカロリーを消費し、その食料生産にはCO2排出が伴います。Pooreら(2018年、Science誌)の研究によると、混合食の場合1,000 kcalあたり約2.5 kg CO2eが発生します。ランニング1 kmあたり約62 kcalを消費するため、食事による追加排出は約0.155 kg CO2e/kmとなります。しかし、植物ベースの食事(約0.08 kg/km)と肉中心の食事(約0.4 kg/km)では5倍の差があり、食事の選択が大きな影響を持ちます。
サステナブルランニングの実践ガイド
ランニングをより持続可能にするための実践的な戦略を紹介します。
シューズの持続可能性
- 寿命を最大化する — ランニング専用にし、日常履きを避ける。適切な乾燥と保管でフォームの劣化を遅らせる。
- リサイクルプログラムを活用 — Nike Grind、Adidas Parley、On Cyclonなど各ブランドのリサイクルプログラムに古いシューズを送る。
- サステナブルな素材のシューズを選ぶ — リサイクルポリエステル、バイオベースフォーム、天然素材を使用するモデルを検討。AllbirdsのTree Runner、OnのCloudneoなど。
食事の最適化
- 植物ベースの比率を高める — ランニング用の炭水化物やタンパク質を豆類、穀物、ナッツから摂取することでCO2排出を大幅に削減。
- 地元の旬の食材を優先 — 輸送と冷蔵のエネルギーを削減。
- 食品ロスを最小化 — 必要な量だけ購入し、残り物を活用。
レースとイベント
- 地元のレースを優先 — 飛行機を必要としないレースを選ぶことが最大のインパクト。
- 公共交通機関を利用 — 車よりも列車やバスのCO2排出は1人あたり約5分の1。
- Myカップ・Myボトルを持参 — レース中の使い捨てカップの削減に貢献。
- レースTシャツを有効活用 — 不要なレースTシャツは寄付やリサイクルへ。
日常の選択
- ランニング通勤 — 可能であれば通勤にランニングを取り入れ、車の利用を削減。
- バーチャルレース — 遠方のレースの代わりにバーチャルレースへの参加を検討。
- コミュニティとシェア — サステナブルランニングの実践をランニング仲間とシェアし、意識を広める。
参考文献
- (2013). Manufacturing a Pair of Running Shoes: Lifecycle Carbon Assessment. Journal of Cleaner Production (MIT Materials Systems Laboratory).
- (2018). Reducing food's environmental impacts through producers and consumers. Science, 360(6392), 987-992.
- (2023). UK Government GHG Conversion Factors for Company Reporting. UK DEFRA Greenhouse Gas Reporting Guidelines.
- (2018). Measuring Fashion: Environmental Impact of the Global Apparel and Footwear Industries. Quantis Environmental Sustainability Report.