マラソンで足がつるときの対処法と再発時の判断
マラソン中に足がつったら、まず走るのをやめて優しく伸ばします。ふくらはぎ・太ももの部位別の動作、再発時の救護相談、補給と薬の考え方を紹介。
ポイント
- まず走るのをやめます。 安全な場所で、つった筋肉を優しく伸ばします。
- 治まっても再開できるとは限りません。 強い痛み、繰り返すけいれん、改善しない症状は救護に相談します。
- 足つりだけで塩分不足とは判断できません。 補給を増やす前に、レースと練習の経過を振り返ります。
今、足がつっているとき
筋肉が急に硬くなり、強く痛んで力を抜けない状態は、筋けいれんの可能性があります。ただし、急に脚を痛めて鋭い痛みが続く場合は、肉離れなどのけがを自己判断で除外しないでください。
- 走るのをやめ、安全を確保します。 後続のランナーに注意してコース脇へ移動します。動けない場合はスタッフに助けを求めます。
- つった部位を優しく伸ばします。 下の動作から該当するものを選び、反動をつけずに保ちます。他の人に強く押してもらわないでください。
- 症状を確認します。 強く痛む、何度もつる、改善しない場合は救護スタッフに相談します。
米国整形外科学会の案内では、原因となった活動をやめ、筋肉を優しく伸ばす方法が示されています。これは診断やレース再開の判定ではありません。
場所に合わせて、無理なく伸ばす
安全な場所で、安定した支えを使います。伸ばすほど痛みが増す、姿勢が取れない、痛む場所が分からない場合は無理をせず、救護の助けを借りてください。

ふくらはぎ:後ろのかかとを床につける

壁に両手をつき、つった脚を後ろに置きます。前の膝を曲げ、後ろの脚は伸ばして、かかとを床につけたまま体を少し前へ移します。ふくらはぎに穏やかな伸びを感じる範囲にとどめます。
太ももの裏:股関節から少し前へ

座って両脚を前へ伸ばし、膝を突っ張らせないようにします。背中を丸めず、股関節から少し前へ傾き、手を床に沿って動かします。つま先に届かせようとせず、太ももの裏に伸びを感じたら止めます。
太ももの前:支えを持って膝を曲げる

壁などで体を支え、つった側の膝を曲げます。足首を軽く持ち、かかとをお尻に近づけます。左右の膝を近くに保ち、腰を反らさず、痛くなるほど引かないでください。
イラストはAAOSの動作説明を参考にした独自の図です。図と同じ角度まで伸ばす必要はありません。
伸ばすと治まるのに、またつる場合
またつったら、再び走るのをやめます。痛みが一時的に治まることと、走り続けられることは別です。「何分休めば再開できる」という一律の基準は、このガイドでは設けません。
- 痛みが続く・脚を引きずる: 再開を試さず、救護に相談します。
- 繰り返しつる・痛みが強い: 部位と発生時点、伸ばした後の変化を伝えます。
- いったん治まった: 残りの距離や関門までの時間だけで、再開してよいとは判断しません。
レース後も受診が必要なサイン
強い、頻繁な、対処しても改善しないけいれんは医療相談の対象です。倒れた、意識がおかしいといった場合は、すぐ周囲と救護スタッフの助けを求めます。
レース後に予想を超える強い筋肉痛、著しい脱力、茶色やコーラ色の尿が出た場合も、すぐに医療機関を受診してください。CDCの案内では、重い筋損傷の症状は遅れて出ることがあるとされています。尿の色だけでは問題を除外できません。
補給していてもつるのはなぜ?
足がつったという事実だけで、塩分不足や練習不足とは決められません。運動に伴う筋けいれんのレビューは、複数の要因を考え、個人の経過に応じて対策を組むことを勧めています。
2026年のリスク因子のレビューでは、過去につった経験との関連が比較的一貫していました。一方、水分状態や練習に関する多くの指標は、証拠が限られるか結果が一致していません。特定の予防法の有効性を検証した研究とは区別が必要です。
水分やエネルギー補給は、それぞれの目的に沿って準備します。給水の考え方とレースの補給計画を確認し、足つりが起きてから急に摂取量を増やす方法に頼らないでください。
次の準備に残したいメモ
- いつ、どこが: 違和感が出た時点、実際につった時点、左右と部位。
- 何をしたか: 伸ばした後の変化と、再び動いたときの状態。
- ペース: 目標と実際のラップ。ペース計算で序盤の走りを振り返ります。
- 練習: ロング走、中断した期間、直前の体調、練習と本番の条件の違い。
- 当日の条件: 暑さ、飲食したもの、薬やサプリメント。量が曖昧なら推定と記します。
再発する場合はこの記録を医師に見せ、練習の見直しには指導者にも共有します。走行距離や筋トレを一律に増やすための採点表ではありません。
参考文献
- (2022). An Evidence-Based Review of the Pathophysiology, Treatment, and Prevention of Exercise-Associated Muscle Cramps. Journal of Athletic Training.
- (2026). Risk Factors for Exercise-Associated Muscle Cramps: A Systematic Review With Meta-Analysis. Muscle & Nerve.
- (2020). Magnesium for skeletal muscle cramps. Cochrane Database of Systematic Reviews.
- . Muscle Cramps. OrthoInfo.
- (2025). Signs and Symptoms of Rhabdomyolysis. CDC.