標高別ペース換算 — 練習地と大会地のタイム差

練習地と大会地、標高が違うとタイムはどれだけ変わるか

標高1,000mの大会は平地より何分遅くなる?練習地と大会地の標高を入れるだけで、距離別のタイム差と高地順化の補正を算出します。

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標高
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練習地、合宿地、大会会場から選べます。標高の直接入力にも対応しています。

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大会の開催地や、これから行く合宿地を選びます。

詳細設定:出発地での滞在期間

標高別ペース換算の使い方

  1. ペースと種類を入れる

    いま出しているペースを分と秒で入力し、それがジョグ・ロング走、テンポ走、5km、10km、ハーフ、フルのどれに当たるかを選びます。

  2. 2地点を選ぶ

    出発地と換算先を検索から選びます。一覧にない場所は標高を直接入力でき、メートルとフィートを切り替えられます。入れ替えボタンで向きを反転できます。

  3. 滞在期間を選ぶ

    換算先に着いてからどのくらい経っているか(到着直後、1〜2週間、3週間以上、住んでいる)を選びます。出発地側の滞在期間は詳細設定で変えられます。

  4. 換算ペースと範囲を読む

    換算後のペース、1kmあたりの秒数と変化率、個人差の範囲が出ます。同じ画面に、ペースの種類別の一覧と標高別のペース、計算の内訳も表示されます。

標高が1,000m違うと、1kmあたり何秒変わるか

海面で練習している人が標高1,000mの大会に到着直後に出ると、同じ強度でも1kmあたり9〜14秒遅くなります(5kmで9秒、フルで14秒。下の表の基準ペースでの値)。この計算機は、その差を2地点の標高から出します。

海面で1km 5分00秒のハーフの強度で走れる人が菅平高原(1,263m)に着いた直後なら、同じ強度は5分18秒(1kmあたり18秒、6.0%遅い)。目安の範囲は5分12秒から5分23秒です。

逆向きは同じ幅では戻りません。菅平で3週間過ごして海面に下りると、テンポ走4分30秒は4分21秒(3.3%速い)。上がるときの6.0%のおよそ半分です。滞在中に回復した分が織り込まれているためで、これは本ツールのモデル上の計算です。

使うときに迷いやすいところ

  • 出発地の初期値は「住んでいる」です。合宿で数週間だけ滞在した場所を出発地にするときは、詳細設定で変えてください。
  • スタート地点が高いレースは別枠です。ゴールの街と標高が違うコースは、スタート地点の標高で登録しています(例:マウントチャールストンマラソンは2,316m)。
  • 答えは幅のほうです。同じ標高でも落ち方は人によって大きく違います。

標高別・距離別のタイム差一覧

海面から各標高へ移動し、到着直後に同じ強度で走った場合の差です。カッコ内は基準ペース(5km 4分00秒、10km 4分30秒、ハーフ5分00秒、フル5分30秒)での1kmあたりの秒数です。

標高5km10kmハーフフル
500 m1.0%(2秒)1.1%(3秒)1.2%(4秒)1.2%(4秒)
1,000 m3.6%(9秒)4.1%(11秒)4.3%(13秒)4.3%(14秒)
1,500 m6.2%(15秒)7.0%(19秒)7.4%(22秒)7.5%(25秒)
2,000 m8.9%(21秒)10.0%(27秒)10.6%(32秒)10.6%(35秒)
2,500 m11.5%(28秒)12.9%(35秒)13.7%(41秒)13.7%(45秒)
3,000 m14.1%(34秒)15.9%(43秒)16.8%(50秒)16.8%(56秒)

距離が長いほど差が広がるのは、短いほど酸素に頼らない力の割合が大きいからです。3週間以上滞在した場合は、表のおよそ61%まで小さくなります(本ツールの仮定)。

国内の練習地・大会会場と、海外の主な高地トレーニング地

標高は公式サイト・Wikipedia・標高データ(Copernicus DEM)のいずれかを出典としています。国内の合宿地と大会会場はほとんどが「低い標高」(500〜2,000m)に入り、この帯の順化の目安は3〜7日です(BJSM 2013)。

場所標高区分メモ
湯の丸高原1,750 m低い国内最高地点の全天候型400mトラックがあります
飛騨御嶽高原1,700 m低い1,200mから2,200mに広がる高地トレーニングエリア
菅平高原1,263 m低い夏合宿の定番。大学・実業団のチームが集まります
蔵王坊平1,000 m低いJOC指定の高地トレーニング拠点。全天候トラックあり
軽井沢940 m低い軽井沢ハーフマラソンの開催地
富士河口湖833 m低い河口湖の湖面標高。富士山麓の大会会場
妙高高原727 m低い標高は低めで、涼しさを優先する夏合宿向き
イテン2,400 m中程度ケニアの「Home of Champions」。高地トレーニングセンターがあります
フラッグスタッフ2,106 m中程度HOKA NAZ Eliteと北アリゾナ大学の拠点
昆明(海埂トレーニング基地)1,892 m低い中国で最も歴史の長い高地合宿地のひとつ
サンモリッツ1,822 m低い1960年代から続くヨーロッパの定番。400mトラックと森のコース
ボルダー1,655 m低いプロランナーが多く住む街。上部のMagnolia Roadは約2,600m

練習のペースをどう合わせるか

5分以上のインターバルや閾値走は、テンポ走か5kmの行を目安にしてください。ジョグとロング走はペースではなく強度をそろえ、表示された遅いペースをそのまま受け入れます。ジャック・ダニエルズも自身のサイトで、標高1,524m(5,000フィート)ではインターバルと閾値走を1マイルあたり8〜10秒遅くし、レペティションは調整不要と述べています(Ask a Coach、2011年。研究ではなくコーチングの指針です)。

なぜ遅くなるのか、どこまで信用できるのか

標高が上がると酸素分圧が下がり、使える酸素が減ります。持久系アスリート8名を低圧室で測った研究では、最大酸素摂取量(1分間に使える酸素の最大量)が1,000mあたり6.3%直線的に下がりました(急性曝露、WehrlinとHallén 2006)。6分00秒/kmでフルを走る人なら、標高1,000mで1kmあたり約16秒に当たります。

落ちるのは供給側だけです。ランニングエコノミー(同じ速度で走るときの酸素コスト)は順化しても変わらないため(153名の統合解析、Lundbyほか 2007)、酸素が減った分だけ保てる速度が落ちます。「空気が薄いぶん抵抗が減って相殺される」は成り立たず、6分00秒/kmのランナーが標高2,100mで受け取る恩恵は0.12%、失う有酸素能力は9〜11%です。

数字の出どころと、当てはまらない場面
  • 6.3%の出どころ:持久系アスリート8名を低圧室に入れ、300m・800m・1,300m・1,800m・2,300m・2,800m相当で走らせた研究です。低下は直線的で、個人差は1,000mあたり4.6〜7.5%でした(WehrlinとHallén 2006)。
  • 空気抵抗:空気抵抗が走行エネルギーに占める割合は、マラソンの速度(毎秒5m)で2%、中距離(毎秒6m)で4%です(Davies 1980)。標高で空気が薄くなっても、返ってくるのはこの割合の一部だけです。
  • 個人差:標高580m相当の低圧室で、トレーニングを積んだ自転車選手の最大酸素摂取量は平均6.8±1.5%下がりましたが、個人では+1.2%から−12.3%まで開きました(Goreほか 1996)。エリートランナー27名が2,100mで到着48時間後に走った3,000mは平均48.5±12.7秒遅く、酸素飽和度が下がりやすい群は54.0秒、下がりにくい群は38.9秒でした(Chapmanほか 2011)。
  • 順化:順化しても最大酸素摂取量は元に戻りません(Fulcoほか 1998のレビュー、BärtschとSaltin 2008)。それでも走れるペースは改善していきます。本ツールが使う残存率(到着直後100%、1〜2週間78%、3週間以上61%、常住50%)は、標高2,340mでエリート自転車選手を3週間追った研究(Schulerほか 2007)から導いたモデル上の仮定で、研究がそのまま出した数字ではありません。
  • 市民ランナー:低圧室で市民ランナー12名を測った研究では、914mで有意な低下はなく、1,219mから下がりました(SquiresとBuskirk 1982)。トレーニングを積んだ選手は580mから下がります(Goreほか 1996)。表示される数字は、市民ランナーにとって上限寄りです。
  • 当てはまらない場面:3,000mを超える標高はモデルの検証範囲の外で、外挿した値です。暑さ、湿度、コースの起伏、獲得標高は計算に入っていません。フルマラソンは脱水と暑さの影響を含まないぶん、控えめな数字が出ます。

いつ現地に入るか

早く入れるなら早いほど有利です。到着当日がいちばん落ちるので、前泊できるなら前泊してください。「数時間前に着いたほうが有利」という説は支持されていません。

数日以上とれる場合の目安は、500〜2,000mで3〜7日、2,000〜3,000mで1〜2週間、3,000m超なら最低2週間です(BJSM 2013の合意文書)。泊まるのは大会と同じ標高にして、それより高い場所は避けてください。

到着時刻と滞在場所の根拠
  • 標高1,700mで16歳前後の男子15名を調べた研究では、シャトルランの落ち込みが到着6時間後で37.4%、18時間後で17.7%、47時間後で14.2%と小さくなっていきました。論文の結論は「中程度の標高への移動は、競技前のできるだけ早い時期に行うべき」です(Westonほか 2001)。
  • 2,500m相当の低酸素環境で自転車の20kmタイムトライアルを行った研究では、前夜から入った場合と2時間前に入った場合で差がありませんでした(Fossほか 2017、10名)。
  • 大学生ランナー48名を4週間追った研究では、大会標高(1,780m)より300〜1,000m高い場所に住んだ群は、落ち込みを最小にするのに最大19日かかる可能性が示されました(Chapmanほか 2016)。

獲得標高(登り)とは別の話です

このページで扱う「標高」は空気の薄さ、つまり気圧高度です。標高1,000mなら、平坦な高原でも登りの多いコースでも酸素の薄さは同じように効きます。

登り下りでタイムが変わるのは筋肉と重力の話で、酸素とは別の要因です。本ツールは起伏をいっさい見ていないので、登坂の影響は獲得標高の影響計算機で計算し、両方が重なるコースでは別々に見積もって合わせてください。

よくある質問

標高1,000mのレースは、平地より1kmあたり何秒遅くなりますか?

海面から来て到着直後に同じ強度で走る場合、本ツールのモデルでは1kmあたり9〜14秒遅くなります。距離別に見ると、5kmが9秒(3.6%)、10kmが11秒(4.1%)、ハーフが13秒(4.3%)、フルが14秒(4.3%)です。それぞれ4分00秒、4分30秒、5分00秒、5分30秒を基準ペースとした場合の値で、距離が長いほど差は大きくなります。

タイム全体に直すと、基準ペースで10kmが約2分、ハーフが約4分半、フルが約10分の差です。3週間以上滞在してから走る場合、この差はおよそ61%まで小さくなります。順化による回復の割合は、標高2,340mでエリート自転車選手を追った研究から導いた本ツールの仮定です。

標高1,000m程度なら、本当に影響はないのですか?

影響はゼロではありません。ハーフマラソンなら到着直後で4.3%、1時間35分で走るランナーなら約4分の差になる計算です。1,000mより低い場所でも差は出ます。海面で1km 5分00秒の10km走を富士河口湖(833m)に置き換えると、到着直後は5分09秒(1kmあたり9秒、3.1%)です。

実際の競技結果でも同じ傾向が出ています。エリート選手13万件超の記録を分析した研究では、800mより長い種目は標高150〜299mから遅くなり始め、1,000mを超えると2〜4%の低下になりました(Hamlinほか 2015)。劇的な差ではありませんが、目標タイムを決めるときに無視できる大きさでもありません。

練習地と大会地の標高が違う場合、どう換算しますか?

ふだん練習している場所を出発地に、大会の会場を換算先に入れて、換算先での滞在期間を選びます。たとえば海面で1km 5分00秒のハーフの強度で走れるランナーが菅平高原(1,263m)に着いた直後なら、同じ強度は5分18秒(1kmあたり18秒、6.0%)に相当し、目安の範囲は5分12秒から5分23秒です。

向きは逆でもかまいません。高地の合宿地を出発地、平地の大会を換算先にすれば、合宿の練習ペースが平地でどのくらいに当たるかが出ます。

当日入りで、到着から2時間後に走っても大丈夫ですか?

走れますが、到着当日はいちばん条件の悪いタイミングです。標高1,700mで16歳前後の男子15名を調べた研究では、シャトルランの成績の落ち込みが到着6時間後で37.4%と最も大きく、18時間後には17.7%、47時間後には14.2%まで小さくなりました(Westonほか 2001)。前泊できるなら前泊が有利です。

逆に「ぎりぎり数時間前に着いたほうが有利」という説は支持されていません。2,500m相当の低酸素環境で自転車の20kmタイムトライアルを行った研究では、前夜から入った場合と2時間前に入った場合で差がありませんでした(Fossほか 2017、10名)。なお、高山病など体調面の判断は医療の領域なので、このツールでは扱いません。

市民ランナーでも、標高の影響は同じですか?

市民ランナーが影響を受け始める標高は、トレーニングを積んだ選手より高めです。低圧室で市民ランナー12名を測った研究では、914mでは最大酸素摂取量の有意な低下がなく、1,219mから低下が出ました(SquiresとBuskirk 1982)。一方、トレーニングを積んだ自転車選手は、標高580m相当で最大酸素摂取量が平均6.8%下がっています(Goreほか 1996)。

このページの数字はトレーニングを積んだ人のデータをもとにしているので、市民ランナーにとっては上限寄りの見積もりだと考えてください。

高地トレーニングは、標高何メートル以上から効果がありますか?

海面でのレースを速くする目的なら、住む標高は2,000〜2,500mが目安です。大学生ランナー48名を4週間、標高1,780m・2,085m・2,454m・2,800mに分けて住まわせた研究では、下山後の3,000mのタイムが改善したのは真ん中の2つ(2,085mと2,454m)だけで、1,780mと2,800mでは有意な改善が出ませんでした(Chapmanほか 2014)。日本国内の合宿地の多くは、この帯より低い標高にあります。

ただし、この計算機が出すのは合宿の効果ではなく、標高が違う2地点のペース換算です。合宿の設計は別の話として扱ってください。

獲得標高(登り)と標高(気圧高度)は何が違いますか?

獲得標高はコースを登った高さの合計、標高は空気の薄さを決める高さです。このページが扱うのは後者で、標高1,000mの平坦なコースと標高1,000mの起伏の多いコースを、酸素の面では同じ条件として計算します。

登りと下りによるタイムの変化は獲得標高の影響計算機で計算してください。標高が高く、かつアップダウンも大きいコースでは、2つを別々に見積もって合わせるのが現実的です。

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