累積標高がアプリごとに合わない理由
同じGPXファイルでも、累積標高(獲得標高)は数え方で変わります。だから本ツールは1つに絞らず、2つの数字を並べて出しています。
- しきい値法(メイン表示):標高を軌跡上50mの範囲でならしたうえで、直前の底から5m以上上がってはじめて1回分と数えます。時計やアプリが出す数字に近いのは、ふつうこちらです。
- 単純合計:隣り合う点のプラスの差をすべて足したものです。
2つがずれるのは、GPSや気圧計の1点ごとの測定にはかならずゆらぎがあり、そのプラス側だけが合計に足し込まれるからです。まったく平らな道を走っても、単純合計は0mになりません。
アプリ側も、それぞれ独自の数え方をしています。
- Strava:サポートページで累積標高は「推定値」だと明記し、上昇と数えるかどうかに「しきい値」を使っていると書いていますが、その値は公開していません。
- Garmin:気圧高度計のある時計はデバイスが記録した標高を、ない機種はGarminの標高モデル(DEM)を使います。標高ソースの切り替えはGarmin Connectのウェブ版(アクティビティ右上の歯車)からで、アプリではできません。
やることは2つです。大会の公式コース図に載っている獲得標高と見比べるときは、メイン表示のしきい値の数字を使ってください。それでも大きく食い違うなら、コースが違うのではなく数え方が違うだけのことが多いので、主催者が示している算出方法を先に確認します。
プロファイルをペース配分に変える
登りで平地と同じペースを守ろうとすると、そこだけで脚を使い切ります。守るのはペースではなく力です。どれだけペースを落としてよいかは、勾配から逆算できます。
下の表は本ツールが使っている換算です。勾配3%は「100m進むあいだに3m上がる」坂で、平地を5:00/kmで走る人ならこうなります。
| 勾配 | 平地との差 | 平地5:00/kmなら |
|---|---|---|
| +3% | 7.5%遅い | 5:23/km(+23秒) |
| +6% | 15%遅い | 5:45/km(+45秒) |
| +10% | 25%遅い | 6:15/km(+1分15秒) |
| +15% | 42.5%遅い | 7:08/km(+2分8秒) |
| −3% | 4.5%速い | 4:47/km(−14秒) |
| −6% | 9%速い | 4:33/km(−27秒) |
| −10% | 15%速い | 4:15/km(−45秒) |
下りが得になるのは−10%あたりまでで、それより急になるとブレーキがかかって逆に遅くなります。6%の登りで45秒失っても、同じ6%の下りで戻るのは27秒だけです。だから同じ距離でも、アップダウンのあるコースは平坦より遅くなります。この換算はRunDidaの簡易的な工学モデルであって、研究から出た結論ではありません。
使い方はこうです。プロファイルを横にドラッグして登りを1つ選ぶと、その区間の平均勾配といちばん急な勾配が出ます。平均勾配を表に当てて、その坂で許すペースを先に決めておきます。急な坂では歩いたほうが速い場面もありますが、その境目は体格や走力で変わるので、本番前に実際の坂で試して決めてください。
区間ごとの目標に落とし込むならヒルペーシング戦略計算機、走ったあとに登り区間と平地の区間を同じ物差しで比べるならGAP計算機が続きです。
GPXに入っているもの、入っていないもの
GPXは位置を記録するためのフォーマットです。仕様(Topografix GPX 1.1)で必須なのは各点の緯度と経度だけで、標高(メートル)も時刻(UTC)も任意の項目です。標高のないファイルや時刻のないファイルは、珍しくありません。
- 軌跡(trk):実際に走った記録です。ふつう時刻が入っているので、ペースまで出ます。
- ルート(rte):これから走る予定の線です。時刻がないため、地図と標高と登りの一覧までは出ますが、ペースの列は出ません。大会が配るコースGPXも時刻を持たないことが多く、扱いは同じです。
- ウェイポイント(wpt):地点の印です。エイドやチェックポイントが入っていることがあり、本ツールは何km地点にあたるかを計算して並べます。
心拍数、ケイデンス、気温は、GPXの標準部分ではなく拡張(GarminのTrackPointExtensionなど)に入っている場合だけ読めます。この拡張ではケイデンスが「1分あたりの回転数」として定義されているので、いつもの歩数の半分くらいの値が出ることがあります。その場合は片足だけを数えた値なので、2倍して読んでください。ラップ(周回)はGPXには入りません。Stravaのヘルプも、TCXのほうがGPXより多くの情報を持つと説明しています。
日本でよく使うアプリからの書き出し口はこうです。
- Garmin Connect:ウェブ版で「アクティビティ」を開いて対象を選び、右上の設定歯車アイコンから「GPXにエクスポート」。
- Strava:ウェブ版のアクティビティ詳細ページのアクションボタン(…)から「GPXをエクスポート」。ヘルプによると、自分のアクティビティを書き出した場合は、位置と時刻のほか心拍数、ケイデンス、気温も含まれます。
- ヤマレコ:山行記録を開いて「地図出力/その他の機能」から「GPXファイル」。他人のログと「らくルート」で作った自分のログはプレミアムプラン限定です。
- YAMAP:登山計画の詳細画面にある「GPXデータ」からダウンロード。公式の案内ではプレミアム限定機能です。
読み込んだファイルは端末から出ません。ただし地図の背景画像はOpenStreetMapとOpenTopoMapのタイルサーバーから取得するため、それらのサーバーには開いた地図の範囲は伝わります。ファイルの中身は伝わりません。