HRV計算ツール|自分のベースラインで今日の数値を判定

HRV計算ツール

直近5〜30夜のHRVを貼るだけ。年齢別の表ではなく自分のベースラインで今日の値を判定。Apple WatchはSDNN、GarminはRMSSDと指標の違いにも対応。

すべて同じデバイス・同じ指標の値にしてください。

任意:安静時心拍と合わせて読む

自分のベースラインでHRVを判定する手順

  1. デバイスを選ぶ

    使っているデバイスを選ぶと指標が決まります(Apple WatchはSDNN、Garmin・Oura・Polar・WHOOPはRMSSD)。Apple Watchを選ぶと、SDNNでもそのまま使える理由の説明が出ます。リストにない機種は「その他・手入力」を選ぶと、RMSSDかSDNNを自分で指定できます。

  2. 直近の夜の値を古い順に貼る

    5〜30夜ぶんの数値を、カンマ・スペース・改行のどれで区切っても読み取れます。30を超えて貼った場合は、新しい30夜だけを使ったという注意が出ます。

  3. 今日の値を入れる(任意で安静時心拍も)

    今日の値をmsで入力します。安静時心拍は「今日」と「いつも」の両方を入れるとHRVと組み合わせた読み方が加わり、レースまで7日以内かどうかも選べます。

  4. 判定を読む

    5段階の判定(いつもの範囲内〜明らかに低い)、あなたのベースラインといつもの範囲(ms)、今日のz、外れ値と判定された夜があればその夜と影響が残る日数、直近の夜の推移が表示されます。「計算の内訳」を開くと、対数変換からzの計算までを1ステップずつ確認できます。

年齢別の基準表を載せない理由

結論から言うと、ネットで見かける年齢別のHRV表を、自分の時計の数字と並べても意味がありません。測り方が違うからです。HRV研究の総説(ShafferとGinsberg 2017)は、24時間の記録・短時間の記録・超短時間の記録から作られた常模値は互いに置き換えられないと注意を促しています。夜通し手首の光学式センサーで測った値は、そのどれとも同じ条件ではありません。

「人数が多い表なら信用できる」も成り立ちません。8万4772人を解析したLifelines研究(Tegegne 2020)が測ったのは10秒の安静時心電図、Umetani 1998は24時間ホルターで260人です。しかも結論の向きまで変わります。24時間の研究では30歳未満で女性のほうが低いのに、1万3943件の10秒心電図(van den Berg 2018)では男女差はごくわずかでした。だからこのツールは表を持たず、あなた自身の5〜30夜だけで「いつもの範囲」を作ります。

あなたの数字はRMSSD? それともSDNN?

同じ夜でも、機種が違えば数字は簡単に2〜3倍ずれます。実際に「WHOOPは200〜300なのに、他のデバイスでは60〜90」というユーザー報告があります(r/whoop 1uxy9xp)。原因の多くは体調ではなく指標の違いです。Appleの開発者向けドキュメントによれば、ヘルスケアが記録するHRVはSDNN。一方でGarminの公式ページはHRVステータスをRMSSDと説明しており、Oura・Polar・WHOOPもRMSSDです。

デバイス夜間HRVの指標
Apple Watch/ヘルスケアSDNN
Garmin(HRVステータス)RMSSD
OuraRMSSD
Polar(Nightly Recharge)RMSSD
WHOOPRMSSD
胸ベルト+アプリ多くはRMSSD

SDNNとRMSSDを換算する式は、少なくとも研究には見当たりません。実務上の対処はひとつだけ——同じデバイス・同じ指標・夜間の値だけを並べることです。機種を替えたら、そこからベースラインを作り直してください。Apple Watchユーザーもこのツールはそのまま使えます。自分の夜どうしを比べるだけなので、SDNNの並びでも判定は成り立ちます。

飲んだ夜の1晩は、平均をあと何日引きずるか

1晩の異常な低さは、その夜だけでは終わりません。WHOOPの公式コミュニティでは、スタッフが「現時点では、個々の夜をHRVベースラインの計算から除外することはできません」と回答しています(2026年2月、トピック13515)。別のスタッフの説明も「データを削除することは勧めない、ベースラインは2〜3週間で正常化する」でした(トピック6472)。つまり飲み会や熱っぽかった夜の1回は、しばらく平均に居座り続けます。

等重みの7日平均のような読み値では、居座る長さは単純な引き算になります。7 −(その夜からの経過日数)——4日前の外れ値なら、あと3日ぶん数字を下に引っ張る計算です(各社の内部計算式ではなく、本ツールの工学的な目安です)。このツールはロバストz(|z| > 2.5)で外れ値の夜を除いてから範囲を作り、その夜の影響があと何日残るかを表示します。低い日が数日続くときは、練習量そのものが説明になっていないかをトレーニング負荷計算機で確かめてみてください。

レース週に下がるのは、よくあること

テーパリング(レース前に練習量を落とす期間)に入るとHRVが下がる——これは珍しい話ではありません。英語圏のランナー掲示板にはこの現象を指すtaper tantrum(テーパー期のぐずり)という呼び名まであり(r/AdvancedRunning 1gu192h)、ウルトラ系のスレッドで最も支持されたコメントは「レース前は無視しろ」でした(r/ultrarunning 1gl3olp)。睡眠も生活リズムも緊張感も同時に変わる週なので、数字が動くほうが自然です。

逆に、高ければ安心とも限りません。トライアスリート21人を2群に分けた研究(Le Meur 2013)では、練習量を意図的に増やして機能的オーバーリーチングに入った群は、走テストの成績が9.0%低下したのに、Ln RMSSDの週平均はむしろ上がっていました。だからこのツールは「レースまで7日以内」を選ぶと、低い日の読み方を変えます。HRVは目安であって、走るかどうかを決める指示ではありません。

よくある質問

HRVの数値を、他の人や年齢別の表と比べてもいいですか?

比べないでください。そもそも比較になっていません。よく見かける年齢別の表は10秒や24時間の心電図から作られていて、夜通し手首で測った値とは測定条件が違います。HRV研究の総説も、24時間・短時間・超短時間の常模値は互いに置き換えられないと注意を促しています(ShafferとGinsberg 2017)。意味があるのは「自分のふだんと比べて今日はどうか」だけです。このツールは直近5〜30夜から、その「ふだん」をその場で作ります。

Apple WatchとGarmin・WHOOPで数字が大きく違うのはなぜですか?

指標が違うからです。AppleのヘルスケアはSDNN、Garmin・Oura・Polar・WHOOPはRMSSDです。同じ「HRV」という名前でも計算方法が別物なので、大きさをそろえて比べることはできません。ユーザーの報告でも「WHOOPは200〜300なのに他のデバイスは60〜90」という差が出ています(r/whoop 1uxy9xp)。2つを換算する式は研究にも見当たらないため、このツールは換算せず、同じ指標どうしだけを比べます。機種を替えたら、そこからベースラインを作り直してください。

最低で何晩ぶんのデータが必要ですか?

5晩から計算できます。落ち着いた判定がほしいなら14〜30晩です。夜数が少ないほど「いつもの範囲」は広く不安定になりやすく、たまたま低い夜が1つ入るだけで帯ごとずれます。ちょうど5夜だと外れ値を除くと5夜を下回るため、その夜が除外されずに帯がさらに広がります。Garminの場合、自分のHRV基準値ができあがるまで毎晩の記録で約3週間が目安です(トレーニングレディネスの見方)。WHOOPの現行の公式説明では、HRVは直近30日のベースラインと比較され、色付きのリカバリースコアは3回分のリカバリーから表示されます。まず5晩で試して、夜数が増えたら貼り直すのが実用的です。

HRVは高いほどいいのですか?

いいえ。高さよりも「自分の範囲に収まっているか」のほうが読み取れる情報です。平均が同じ100でも、50・100・150と揺れる人と毎日100で安定している人では、読み取れる意味が違います。エリート選手では、安静時心拍が下がっているのにHRVがむしろ下がる「saturation」も報告されていますが、市民ランナーにも当てはまるかはまだ確かめられていません(Plews 2013)。高さを追いかけるより、いつもの範囲からの外れ方を見てください。

走るとHRVは上がりますか?

長い目で見れば上がる方向ですが、1日や1週間では確認できません。総説では、持久系アスリートは非アスリートより心臓の自律神経機能が良好だと報告されています(Lundstrom 2023)。ただし、持久系トレーニングの効果をまとめたメタ分析は60歳以上を対象にしたもので(Raffin 2019)、若い市民ランナーには個別の研究はあっても、その数値をそのまま当てはめる根拠にはなりません。日中に数分だけ座って測る方法は、同じ人でも日によるばらつきが大きいと報告されています(級内相関でおよそ0.5〜0.6、Kobayashi 2012)。夜間の光学式測定は胸ベルト型の基準センサーとよく一致します(LnRMSSDで0.93、Nuuttila 2021)が、これは機器どうしの一致であって日ごとの再現性を直接比べたものではありません。夜の値を数週間ためて見るのが現実的です。

GarminのHRVステータスの数値を、そのまま貼っていいですか?

はい。夜間の値を古い順に並べれば、そのまま使えます。GarminのHRVステータスは睡眠中に測ったRMSSDなので、このツールが前提にしている「同じデバイス・同じ指標・夜間の値」の条件を満たします。貼るのは7日平均やステータスの表示ではなく、1晩ごとの数値を古い順にカンマ区切りで。ボディバッテリーやトレーニングレディネスのスコアは別系統の指標なので、混ぜないでください。

参考文献 12 件の査読論文
  1. Shaffer, F. & Ginsberg, J.P. (2017). An Overview of Heart Rate Variability Metrics and Norms. Frontiers in Public Health. doi:10.3389/fpubh.2017.00258
  2. Umetani, K., Singer, D.H., McCraty, R., & Atkinson, M. (1998). Twenty-four hour time domain heart rate variability and heart rate: relations to age and gender over nine decades. Journal of the American College of Cardiology. doi:10.1016/S0735-1097(97)00554-8
  3. Tegegne, B.S., Man, T., van Roon, A.M., Snieder, H., & Riese, H. (2020). Reference values of heart rate variability from 10-second resting electrocardiograms: the Lifelines Cohort Study. European Journal of Preventive Cardiology. doi:10.1177/2047487319872567
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  11. Raffin, J., Barthélémy, J.C., Dupré, C., et al. (2019). Exercise Frequency Determines Heart Rate Variability Gains in Older People: A Meta-Analysis and Meta-Regression. Sports Medicine. doi:10.1007/s40279-019-01097-7
  12. Lundstrom, C.J., Foreman, N.A., & Biltz, G. (2023). Practices and Applications of Heart Rate Variability Monitoring in Endurance Athletes. International Journal of Sports Medicine. doi:10.1055/a-1864-9726