ヤッソ800計算&ペース表|サブ3〜サブ5の設定タイム

ヤッソ800 設定タイム計算

サブ3.5なら800mを3分30秒で10本、1周1分45秒、つなぎジョグ3分30秒。目標から設定タイムと、その強度が同じ走力の5kmレースペースより速すぎないかを判定。

フルマラソンの目標を選ぶ
800m の本数
標準は10本。初めてなら4本から、毎週1本ずつ増やす

ヤッソ800 設定タイム表

フルの目標「◯時間◯分」= 800m 1本の「◯分◯秒」。

同じ走力の5kmレースペースはRunDidaの計算です。ダニエルズとギルバートのVDOT式で、フルの目標からVDOTを出し、同じVDOTの5kmレースペースに換算しました。黄色の行は、ヤッソのペースがこの5kmペースよりキロ4秒以上速くなる目標です(4時間20分前後から)。
フル目標 800m 400m(1周) ペース /km ペース /mi 同じ走力の5kmレースペース
2:45 2:45 1:23 3:26 5:32 3:27
3:00 3:00 1:30 3:45 6:02 3:46
3:15 3:15 1:38 4:04 6:32 4:05
3:30 3:30 1:45 4:23 7:02 4:24
3:45 3:45 1:53 4:41 7:33 4:43
4:00 4:00 2:00 5:00 8:03 5:03
4:15 4:15 2:08 5:19 8:33 5:22
4:30 4:30 2:15 5:38 9:03 5:42 4秒速い
4:45 4:45 2:23 5:56 9:33 6:02 6秒速い
5:00 5:00 2:30 6:15 10:04 6:22 7秒速い
5:30 5:30 2:45 6:53 11:04 7:02 9秒速い
6:00 6:00 3:00 7:30 12:04 7:43 13秒速い

ヤッソ800とは:フルの目標タイムを800mの分秒に読み替える練習

ルールは一つだけです。フルマラソンの目標「◯時間◯分」を、800m 1本の「◯分◯秒」に読み替えて10本走る。サブ3.5(3時間30分)なら、800mを3分30秒(トラック1周400mは1分45秒)で走り、間に3分30秒のジョグを挟んで10本です。

もとは、米Runner's World誌でレース関連の仕事をしていたバート・ヤッソ(Bart Yasso)が約15年続けていた自分の練習です。同誌の編集者アンビー・バーフット(Amby Burfoot)が1990年代に記事で紹介し、「Yasso 800s」と名付けました。記事の中でヤッソは「800mを2分50秒まで上げられれば、2時間50分で走れる状態」と話しています。

バーフットの原記事にある元のメニュー:

  • 本番の2か月ほど前から、週1回
  • 1週目は4本。以降、毎週1本ずつ増やして10本まで(7週間)
  • 800mの間は、その800mにかかったのと同じ時間だけジョグ
  • 最後のヤッソ800は、レースの10日以上前(できれば14〜17日前)に終える

なぜ当たる?なぜ楽観的に外れる?

結論から言うと、ヤッソ800を走れるのは「その目標に必要なスピードがある」という証拠で、「42kmもつ持久力がある」証拠ではありません。だから予測は、たいてい楽観側に外れます。

中身は「5kmレースペース」の練習

800mを目標の分秒で走ると、速度はフルの目標ペースの1.138倍(48÷42.195)になります。どの目標でもこの比率は同じです。サブ3ならフルのペースはキロ4分16秒、ヤッソはキロ3分45秒で、1kmあたり31秒速い計算です。

ダニエルズのVDOT(レース結果から今の走力を一つの数字にしたもの)の公式で計算すると、このペースは同じ目標の走力を持つ人の5kmレースペースとほぼ一致します。サブ3なら5km換算がキロ3分46秒に対してヤッソ3分45秒、サブ4なら5分03秒に対して5分00秒です(RunDidaがダニエルズの公式で計算した値)。つまり10本こなせるのは、「5kmの走力はその目標に足りている」という意味です。

持久力は測っていない

バーフットの原記事自体が、残りの日は通常のマラソン練習をし、週末の距離走に特に気を配るよう書いています。ヤッソ本人も後年、この対応を「coincidence, correlation(偶然、相関)」と表現しました。

ヤッソ800そのものを検証した研究は、今のところ見つかっていません。バーフットの「約100人に話を聞いた」も聞き取りで、誤差のデータはありません。近い構図のデータは次の2つです。

  • Vickers & Vertosick 2016(2,303人):短い距離の記録からフルを予測するリーゲル式は、半数のランナーでフルのタイムを少なくとも10分速く見積もった。ヤッソではなく別の予測式ですが、「スピードからフルを外挿すると楽観的になる」点は同じです。
  • Tanda & Knechtle 2013(126人):フルのタイムは、練習の平均ペースに加えて週間走行距離にも左右された。
「ヤッソ800は閾値くらいの強度」は本当?

Runner's Worldの現在の記事は、強度を閾値ペース(テンポ走で使う、きついけれど長く保てるペース)くらいで、5kmレースの全力感ではないと説明しています。ダニエルズの公式で計算すると、数字は合いません(RunDida計算)。

  • 2時間40分:ヤッソ キロ3分20秒 / 閾値 3分36秒
  • 3時間:ヤッソ キロ3分45秒 / 閾値 4分01秒
  • 5時間:ヤッソ キロ6分15秒 / 閾値 6分38秒

どの目標でも閾値ペースよりキロ16〜27秒速く、最大酸素摂取量が出るペース(Iペースの上限)よりはやや遅い位置です。米国のコーチ Mario Fraioli も、ダニエルズのVDOT計算機で確かめると実質的に5kmペースくらいになると書いています。

ヤッソ800を効く練習にする5つのポイント

  1. 4本から、週1本ずつ。週1回・4本から始めて7週で10本へ。いきなり10本は避けます。最後の1回はレースの10日以上前、できれば14〜17日前。
  2. つなぎは3通りから選ぶ。原版は800mと同じ時間のジョグ。日本では「400mジョグを同じタイムでつなぐ」形が一般的で、ヤッソ本人も400mジョグでした。つなぎを1分前後に縮める形(知恵袋 q13235642693 に200mジョグの例)は、フルの負荷に近づけた変形で、原版の目安とは分けて考えます。
  3. 全本数を同じタイムで。最後だけ上げるより、1本目から10本目までそろえた方が意味があります。後半に大きく落ちるなら目標が高すぎるサインなので、目標を下げるか本数を減らします。
  4. サブ4より遅い目標は、本数を控えめに。ヤッソのペースが同じ走力の5kmレースペースより速くなります(5時間でキロ7秒、6時間で13秒)。4〜6本から始め、5kmレースペースを上限にしましょう。
  5. 10本できても、距離走と走行距離は別に積む。フルの結果を左右するのは持久力です。土台づくりは有酸素ベースの作り方、目標の妥当性はマラソン目標タイムの決め方で確認できます。

メニューが決まったら、インターバルタイマーに800mとつなぎの時間を入れておくと、トラックで時計を見続けずに済みます。

よくある質問

ヤッソ800の設定タイムはどう決めますか?

フルマラソンの目標「◯時間◯分」を、800m 1本の「◯分◯秒」に読み替えるだけです。

  • サブエガ(2時間50分):800m 2分50秒・1周1分25秒
  • サブ3:800m 3分00秒・1周1分30秒
  • サブ3.5:800m 3分30秒・1周1分45秒
  • サブ4:800m 4分00秒・1周2分00秒

「3分」は800mにかかる時間で、キロ3分のペースではありません。サブ3の設定をキロに直すと3分45秒です。

つなぎ(レスト)は何分?400mジョグでもいいですか?

原版は800mにかかったのと同じ時間のジョグです(サブ3.5なら3分30秒)。一方、ヤッソ本人は400mジョグでつないでいたと後年語っており、RUNNETの用語辞典も「400mジョグを800m1本と同じタイムでつなぐ」と説明しています。

どちらも「800mと同じ時間ジョグで回復する」点は同じなので、トラックなら400mジョグをその時間いっぱい使えば両方を満たせます。立ち止まらず、ジョグでつなぐのが前提です。

10本を設定どおり走れたら、本当にその目標タイムで走れますか?

保証にはなりません。フルを3時間で走れる人は800mを3分で10本走れますが、逆は成り立つとは限らず、足りないのはたいてい持久力です。

米国のコーチング会社 McMillan Running は、持久力型のランナーで予測より0〜2分遅く、スピード型では3〜5分以上遅くなると整理しています。ヤッソ800は「スピードは足りているか」の確認と考え、ほかの材料と合わせて判断しましょう。直近のハーフや10kmの結果はマラソン予想タイム計算でフル換算できます。

サブ3とサブ4以降で、ヤッソ800のきつさは違いますか?

違います。知恵袋にも「速いランナーほど苦しく、遅いランナーほど楽なものみたい」という声があります(q13235642693)。ダニエルズの公式で計算すると、この感覚は半分当たっています。

  • 2時間40分前後:ヤッソのペース(キロ3分20秒)が、最大酸素摂取量が出るペース(キロ3分15秒)にかなり近く、本当にきつい。
  • サブ3〜サブ4:同じ走力の人の5kmレースペースとほぼ同じ(サブ3でキロ3分45秒と3分46秒)。
  • 4時間20分前後より遅い目標:ペースだけ見ると5kmレースペースよりキロ4秒以上速くなる(5時間でキロ6分15秒と6分22秒)。ただしつなぎジョグは5分と長い。

目標が遅いほど「ペースは相対的に速く、休みは長い」練習になります。

いつから始めて、いつ終えればいいですか?

原記事の目安は、本番の2か月ほど前から週1回。1週目4本、毎週1本ずつ増やして10本まで、合計7週間です。

最後のヤッソ800はレースの10日以上前、できれば14〜17日前に終えるよう書かれています。そこから先はテーパリングの期間です。

ヤッソ800は閾値走(ペース走)くらいの強度ですか?

いいえ、計算上はそれより速く、5kmレースに近い強度です。Runner's Worldの現在の記事は「閾値ペースくらい」と説明していますが、ダニエルズの公式で計算すると、ヤッソのペースは同じ走力の閾値(T)ペースよりキロ16〜27秒速くなります(サブ3で3分45秒と4分01秒)。

米国のコーチ Mario Fraioli も、ダニエルズのVDOT計算機で確かめると実質的に5kmペースくらいになると書いています。自分の各ゾーンのペースはトレーニングペース計算機で確認できます。

トラックがなくてもできますか?

できます。トレッドミルなら、800mの設定タイムを時速に直して使います。

  • サブ3(800m 3分00秒):時速16.0km
  • サブ3.5(3分30秒):時速13.7km
  • サブ4(4分00秒):時速12.0km

上の計算ツールは、目標に合わせたトレッドミル速度も出します。ほかの速度の換算はトレッドミル ペース換算表へ。

参考文献 5 件の査読論文
  1. Burfoot, A. (2001). The Real History of the Yasso 800s. Runner's World.
  2. Daniels, J. (2014). Daniels' Running Formula, 3rd Edition. Human Kinetics.
  3. Keogh, A., Smyth, B., Caulfield, B., Lawlor, A., Berndsen, J., & Doherty, C. (2019). Prediction Equations for Marathon Performance: A Systematic Review. International Journal of Sports Physiology and Performance. doi:10.1123/ijspp.2019-0360
  4. Vickers, A.J. & Vertosick, E.A. (2016). An empirical study of race times in recreational endurance runners. BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation. doi:10.1186/s13102-016-0052-y
  5. Tanda, G. & Knechtle, B. (2013). Marathon performance in relation to body fat percentage and training indices in recreational male runners. Open Access Journal of Sports Medicine. doi:10.2147/oajsm.s44945